とーます君
「最も決断を急ぐべき案件が、最も重要な案件であることは滅多にない」
これは、アメリカのかつての大統領アイゼンハワーの言葉ですが、彼はタスク管理の鬼でした。
アイゼンハワーは第二次世界大戦時にノルマンディー上陸作戦を決行した連合国最高司令官であり、米大統領としてアメリカの繁栄と平和に尽力した凄腕の大統領です。
多忙すぎる彼は、タスク管理を徹底しており緊急度と重要度でタスクを4象限に分解する「アイゼンハワー・マトリクス」を生み出しました。
この記事では、アイゼンハワー・マトリクスを紹介していきます。
「アイゼンハワー・マトリクス」
アイゼンハワー大統領は1954年の演説で、「現代人のジレンマ」として、ノースウェスタン大学のJ・ロスコ―・ミラー学長による次の言葉を紹介しました。
「私は2種類の問題を抱えている。緊急なものと重要なものだ。緊急なものは重要ではなく、重要なものは決して緊急ではない」
参考 米国の歴代大統領に学ぶ、時間の有効な使い方Forbes Japan仕事に取り組む上で誰しも複数のプロジェクトや雑務を同時にこなさなければなりません。
しかし、手当たり次第にタスクをこなしたからといって生産性が上がらないのが事実です。
重要な案件にいかに早く取り組み、早く結果を出すことで大きな影響力を生み出します。
ではどのように重要なものと重要ではないものを見極めるのでしょうか
そこでアイゼンハワーからヒントを得ましょう。彼は「アイゼンハワー・マトリクス」と呼ばれる下記のような表を考えました。
- タスクのリスト化今自分が抱えているタスクをすべてリストにする
- タスクの分類タスクを以下の4つに分類する
- 緊急かつ重要
- 重要だが緊急ではない
- 緊急だが重要ではない
- 緊急でも重要でもない
こうして分類し、「緊急かつ重要」に振り分けられたタスクから取り掛かるということです。
重要度が高いものは自分の中で優先度をつけ取り組み、重要度が低いものは必ずしも自分でやるのではなく、人に任せる、もしくはそもそもやる必要があるのか考えることでタスクを効率的に回せるようになります。
「緊急かつ重要」だけでなく「重要だが緊急ではない」ものに目を向ける
このマトリクスは有名なビジネス書であるスティーブン・R・コヴィー著「7つの習慣」でも登場します。
「7つの習慣」では人生において正しい「人格」を身につけ、成功を手に入れるための「7つの習慣」が紹介されており、第三章の「最優先事項を優先する」でこのマトリクスは登場します。
ここでコヴィー氏は「重要だが緊急ではない」ものの大切さを説いています。
「重要かつ緊急」なものはもちろん対処しなければなりません。しかし、その中にはプレッシャー・ストレスを伴い、トラブル対応のような危機的なものも多くあります。私たちは「重要かつ緊急」なものにとらわれてしまうというのです。
対して、「重要だが緊急ではない」ものの中には、部下やチームメンバーとのコミュニケーション・早く帰って自己研鑽するといったようなことも含まれると思います。こういったものは誰もが大切だとわかっていながら「緊急ではない」ため、後回しにしてしまうものです。この「重要だが緊急ではない」領域を効率よく取り入れることで「重要かつ緊急」なものへの対応もよくなると彼は語っています。
「重要かつ緊急」なものに囚われているなと感じたとき、一度立ち止まって、改めてタスクを振り返ることが必要だということですね
なぜ些細なタスクに集中してしまうのか?
ではなぜ私たちは重要なタスクがあるにもかかわらず、「重要ではない」タスクから取り組んでしまうのでしょうか?
それについて面白い記事を見つけました。
参考 Your Desire to Get Things Done Can Undermine Your EffectivenessHarvard Business Review日本語はこちら。
参考 仕事の生産性と質を高めるために「完了バイアス」を利用せよHarvard Business Review要約すると、私たちには「完了バイアス」という本能があります。
人間の脳は何かを完了させると喜びを感じるようにできており、重要なタスクというのは概して完了させるのに膨大な時間と労力を要します。
なので簡単なタスクから片付けて心理的に満足感を得ようとしてしまうのですね。
しかし事はそう簡単ではないようです。
私たちは目先の重要ではないタスクを終わらせると、より重要で困難なタスクに取り組む能力が高まるようです。
簡単なタスクを終わらせる→満足を得るドーパミンが出る→ドーパミンは記憶、モチベーションを高めるという循環のメカニズムになります。
- 簡単なタスクを終わらせる
- 満足を得る
- ドーパミンが出る
- ドーパミンが記憶・モチベーションを高める
- より重要で困難なタスクに取り組める
簡単なタスクを行うことが一種のウォーミングアップになるというわけですね。
なので一概に「重要ではないタスク」を行うことが生産性を下げるわけでもありません。
これは実験でも示されています(内容は上記の記事)
ただやはり、「重要ではない」ことばかりに注力していると後に行う「重要な」タスクへの労力・時間が奪われてしまうこともわかっていますので、つまり両者のバランスが大切だということですね。
アイゼンハワー・マトリクス まとめ
重要なタスクとそうでないタスクのバランスをとるために、まずは何が重要で緊急なのかを自らが把握する必要があります。
そこで「アイゼンハワー・マトリクス」はとても有益となります。
自身で「重要でかつ緊急」なものを認識したうえで、ウォーミングアップとして簡単なタスクをいくつか行うという習慣を意識的に遂行できれば生産性を向上させることができるかもしれませんね。
しかし、これはあくまでもタスクを管理するための手段であって目的ではありません。タスクを管理することに満足して終わらないように留意する必要があります。
皆さんも是非タスクを効率的に管理してみましょう。
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