外資系企業へ転職を果たし、「失敗した」と感じる人は多いです。
特に日系企業から転職する人は、外資系ならではの文化や待遇の差についていけない場合が本当によくあります。
外資系企業は実力主義で、労働時間が長いって聞くなあ。
外資系企業へ転職する前に、まずは自分に合うかどうかを把握しましょう。転職は人生の中でも大きな決断ですので、できるだけ失敗は避けたいところです。
この記事では、外資系企業へ転職した人によくありがちな失敗を7つご紹介します。
事前に失敗例を把握しておくことで、自分自身が転職する際にはそれらの失敗を避けられる状態になりましょう。
本記事は元グローバル企業人材開発企画マネジャーの五十嵐郁一さんに監修して頂きました。
キャリアコンサルティングを中心とした事業を推進している五十嵐郁一です。
行政機関・企業・大学・NPO等における研修やコンサルティング、社会的課題に関する啓発イベントなどの活動をしています。
外資系への転職で失敗する人が多いのはなぜか?
外資系企業への転職で失敗する人に多いのが、憧れだけで転職をしてしまった人です。
外資系企業といえば、確かに輝かしいイメージがありますよね。
- 圧倒的な年収
- 優秀な人ばかりのエリート集団
- 世間からの評価も高い
年収の高さや優秀な人しかいない環境には、もちろん理由があります。
一人一人に与えられる仕事量や責任の範囲が大きかったり、成果の出せない社員が残ることができないなど、対価を得るために支払う労力も多いです。
だからこそ、外資系企業が合う人と合わない人は明確に分かれます。
よくある失敗例をまとめていきますので、ご自身はここであげる失敗を起こさないように気をつけましょう。
失敗する前に知っておきたい外資系企業の特徴
イメージだけで転職する人は失敗しやすいです。
まずは外資系企業の実態をきちんと把握しましょう。
実力主義
みなさん想像の通り、外資系企業には実力主義の企業が多いです。
努力(プロセス)ではなく成果(結果)で評価される文化ですので、成果が出せない人や成果を出すためのプレッシャーについていけない人にはとても辛い環境でしょう。
ただ、逆に実力さえあれば、年齢に関係なく高い給与や大きな仕事をもらえます。
そのメリットを求めて、若くして優秀な方々がこぞって集まっている印象です。
年齢に関係なく評価される風土のため、若くても自発的に仕事を進めて成果を出している人が多いです。
年功序列の文化ではもどかしいような優秀な社員が外資系企業には集まっているよね。
優秀の定義にはいろいろありますが、スキルや経験が豊富というよりかは「地頭が良い」人が外資には多いです。
外資系・ベンチャーは特にそうだけど、入社入ったら学歴は1ミリも関係なくて、地頭の勝負になってくる。
ブログのネタをひねり出し、言語化にするルーチンを繰り返してると、頭のキレは増すし、思考の文字変換が上手くなる。
つまり副業ブロガー強し。
さらにYouTubeでトークを磨けば恐ろしや…😇
— マクリン (@Maku_ring) December 9, 2019
地頭があれば、スキルや経験は後からついてきます。
友人で一流外資系コンサルティングファームに転職した人は、「成果出せないと人権がないと感じる」とまで述べていました。
実力に自信がある人にとっては素晴らしい環境である反面、スキルや経験をコツコツ積みながら身の丈にあった仕事をしたい方にとっては厳しい環境になるでしょう。
高収入
日本企業の1.5倍〜2倍程度の年収を稼いでいる人が多いです。
しかし、年収が高いのには以下のような理由もあります。
- 成果主義
- 退職金制度がない
- 福利厚生が乏しい
企業によるものの、上記のような特徴がゆえに給与が高い外資系企業が多いです。
学生は各業界の平均年収とアッパーは把握しておいたほうが良い。国内Web業界はメガベンチャーでも執行役員クラスにならない限り1000万くらいに天井がある会社が多い。一方で外資コンサルならシニアマネージャーで年収2000万近く行くケースは多い。
— たろまる (@tenche1204) February 8, 2020
特に、外資系投資銀行や外資系コンサルティングファームの年収は群を抜いて高いです。
外資系企業では20代で1000万を超えるのは当たり前で、中には2000万円以上の年収をもらっている20代もいます。
外資系企業の年収事情については下記の記事でまとめてありますので、合わせてご覧ください。
英語力が必要
外資系企業で働くためには、ある程度の英語力が必要です。
ただし、多くの方が想像するような「英語がペラペラしゃべれる」「TOEIC900点以上」などの英語力は必要ありません。
英語はあくまでもツールであり、TOEICでいえば700点程度の読み書きができるレベルであれば問題ないでしょう。
とはいえ、英語力がある中でさらにスキルや経験があると、外資系転職では有利です。
もちろん、英語力だけで外資系企業に入れるほど甘くはないですが英語力はあるに越したことはありません。
英語力と年収の関係については以下の記事にまとめてありますので、ぜひ目を通してみてください。
外資系転職でよくある失敗7選
外資系転職でよくある失敗7選をご紹介します。
事前に失敗を把握することで、それらを避けられるようにしましょう。
①実力主義についていけない
ここまで述べてきた通り、多くの外資系企業は実力主義です。
成果が出せないやつに人権はない、は言い過ぎですが、常に成果を求められます。
日系企業であれば、どのように仕事に取り組んでいるのかのプロセスまでが評価対象になっていることも多いですが、外資系企業では基本的に出した成果がすべてです。
どんなに残業をして頑張っても、成果が出せていないのであれば給料は上がりません。
逆に勤務時間が短くても、他の人よりも成果を出すことができていれば給料は上がります。
実力に自信があったり、常に成果を求められる環境が好きな方は良いですが、プレッシャーに弱い人にとっては辛い環境です。
自分の適性と相談して外資系企業が合うか合わないかを考えましょう。
②激務についていけない
企業にもよりますが、外資系は相対的に激務な環境が多いです。
もちろん圧倒的な生産性を持って働く人は、定時退社をしながら成果を出すことができるでしょうが、普通に働いていたのでは残業なくして成果が出せないような難しい仕事が任されます。
一人一人に与えられる仕事の量も責任の幅も大きいため、キャパオーバーに感じてしまう人も多くなるでしょう。
プライベートに重きをおきたい人は外資系企業は避けておいたほうが良いかもしれません。
③英語力がなさすぎてついていけない
外資系企業で働くためには、ある程度の英語力は必要だと述べました。
本社と会議をしたり、メール対応をしたりする際に、確実に英語を使う機会は出てきます。
帰国子女や留学経験者のようにペラペラなレベルに英語力を磨き込む必要はありませんが、TOEIC700点程度のビジネスで問題なく英語が使えるレベルは必要でしょう。
英語に苦手意識のある方は、転職前にオンライン英会話や英語学習アプリなどを利用して語学力を磨くことをお勧めします。
④給与体系が合わない
外資系企業の給与体系は、日系企業とは少し異なります。
外資系企業の年収は基本的には以下の2つによって決定します。
- ベース給
- インセンティブ給
ベース給が役職によって決まる給料のことで、インセンティブ給が個人の成果や会社の業績によって決まるものです。
インセンティブ給は、日系企業のボーナスのような仕組みですが、より個人の成果によって給料が大幅に上がる可能性を秘めています。
日系企業のボーナスが企業の業績によって大部分が変動するのに対し、外資系企業では個人の業績によってへ変動します。
成果が出せれば大幅な年収アップが見込めますが、出せなければ全くもらえないなんてこともあるため、なかなか想定年収が読みづらいのが現実です。
安定した給与をもらいたい方にとっては、外資系企業の給与体系は合わないかもしれません。
⑤本国の影響を受ける
外資系企業の本部は基本的には本社のある国になりますので、マーケティング戦略やファイナンスについては本国がそれぞれの国に降り出すパターンが多いです。
そのため、与えられた戦略をローカライズするだけの「担当者」になってしまう場合も多く、裁量を持って戦略レイヤーを担当してみたい人にとっては少し物足りないのではないでしょうか。
もちろん、企業によってどれくらい日本に裁量権があるのかは変わりますので、転職エージェントなどを通じて事前に調べることをお勧めします。
⑥想像していたよりもドメスティック
外資系企業が外資系っぽくなさすぎたパターンのギャップに直面する人もいます。
自由な文化や実力主義を求めて外資系に転職したのに、中に入ってみると実は日本企業とほとんど変わらないといったケースはよくあります。
組織のマネージャーによる部分も大きいので、入社する前にある程度の情報を引き出しておくことが大切です。
オープンワークや転職会議などの企業の口コミサイトでご自身で調べてみても良いですし、転職エージェントに尋ねて中の情報を聞いてみても良いでしょう。
⑦個人主義すぎる文化に辛くなる
外資系企業は圧倒的な実力主義・成果主義なため、できない社員にかまってくれる優しい人は多くありません。
全員が自分の成果を出すために必死なので、人のために自分の大切な時間を使うことなどしたくないのは想像もつくでしょう。
日系であればできない社員のサポートに力を入れて、改善させる努力をしますが、外資系企業であればできないのであれば辞めてもらうくらいのドライさがあります。
温かい環境で働きたい人にとっては外資系企業はあまり合わないかもしれません。
外資系で活躍できる人の条件
では、どのような人が外資系企業で活躍できるのでしょうか?
活躍できる人に共通する条件を紹介します。
自分の意見を主張できる
外資系企業では意見を主張できない人はやっていけません。
日本企業では謙虚で聞き役に回っていることが美徳とされ、会議などで何も発言しなかったとしてもよしとされます。
しかし、外資系企業においては、たとえどんな立場であっても意見を求められますし、その意見を主張できる必要があります。
主体性がある
成果主義であるため、どんどん自分で周りを巻き込みながら仕事をしていかなければいけません。
最近ではそうでもないかもしれませんが、依然として「個人主義」な一面も残っています。
そのため、受け身の姿勢でいたのでは全く仕事をもらえなければ気にもかけてもらえません。
アピール上手
日本企業と違って、自分が出した成果に対しては「自分がやった」ときちんとアピールしましょう。
外資系企業において「謙虚」でいることは全くポジティブに働きません。
成果は成果としてきちんとアピールしましょう。
この3つは最低限必要なものです。外資系企業の転職を本気で考えている人は、この3つを意識し、更にレベルアップを目指しましょう。
こちらの記事が参考になるかもしれません。
外資系転職で失敗しない まとめ
外資系企業の特徴と活躍できる人の条件をまとめてきました。
- 実力主義
- 高収入
- 一定以上の英語力が必要
- 自分の意見を主張できる
- 主体性がある
- アピール上手
監修者からの一言
Why So?(それは、なぜ?)
So What?(だから、何?)
これは一流外資系コンサルティングファームでよく使われる問いかけです。
まずは、転職に踏み切る前に、こう自問自答してみましょう。
1.あなたは「なぜ」あえて外資系企業に転職するのか?
2.その理由は、自分自身の中長期的なキャリア戦略において、どのような位置付けになっているのか?
この二つの問いに対して、自分が納得し、他の人に対しても論理的に説明できるのであれば、外資系企業への転職に踏み切っても良いかもしれません。
少なくとも「次の次」くらいまで見据えて転職先を選んだ方が、失敗のリスクを減らせるでしょう。
まずは「なぜ自分が外資系企業に転職するのか」を自問自答し、その問いに対して納得できたら転職を考えてみてください。
外資系企業で働くことは決して楽なことではありませんが、それ以上に得られるものが大きいのも事実です。
外資系転職におすすめのサイト・エージェントは下記記事で解説しているのでぜひ参考にしてください。
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