「シリコンバレーでもっとも影響力を持つ男」
そう呼ばれる男の名前が、ピーター・ティールです。
なぜ彼がシリコンバレーでもっとも影響力があると言われるのか、その理由を解明してくれるのが本書です。
ピーター・ティール 世界を手にした『反逆の起業家』の野望
本書は、シリコンバレーで最も影響力を持つ投資家と言われるピーター・ティールのキャリアやスタートアップ哲学・投資戦略をまとめたもの。
なぜ彼が「ペイパル」を成功させることができたのか、またなぜYouTubeやテスラ、リンクトインなどの名だたる創業者を輩出することができたのかの秘密がわかります。
スタートアップに関わる人や、起業に興味のある人にとっては学びの大きい一冊だと思います。
またビジネスで大きなことを成し遂げたいと考えている方にとっては、彼の生き方や思考から学べる点が多いでしょう。
これより、本書の要約と感想を書き記していきます。
「競争する負け犬」になるな
ピーター・ティールは、起業家・投資家として「独占主義」をモットーにしています。
彼にとっては他人と競争することは愚の骨頂であるといい、競争に巻き込まれた時点で負けなのだそうです。
かつての彼は、競争に勝たなければならないという強迫観念に取り憑かれていましたが、いつしか他人と争う場面ではいい成績を上げているが、その陰でたくさんの犠牲を払っていることに気づいたといいます。
大学に進学する際には出願したすべての大学から合格通知がきたような天才で、中にはハーバード大学も含まれていたのだそうですが、彼は「ハーバードは誤った競争主義の象徴」だと述べこき下ろしました。
天才すぎる..。
その結果、「競争は負け犬のもの」という考えを持つ彼はハーバードではなく、両親の家からほど近いスタンフォード大学に進んだそうです。
この「競争を避ける」という考え方は起業においても非常に大切で、競合他社と明確に差別化した唯一無二のサービスやプロダクトを生み出せた企業が勝ちます。
なぜなら競争をすると周りの人間を倒すことに夢中になってしまい、もっと価値のあるものを求める長期的な視野が失われてしまうからです。
競争を避けることは一つの戦略なのでしょう。
天才の秘密が明らかになります
ペイパルマフィア
ペイパルの創業者たちは「ペイパルマフィア」と呼ばれ、各々が世界的企業を作り上げました。
ペイパルがなければテスラも、スペースXも、リンクトインも、YouTubeも、そしておそらくフェイスブックもなかったでしょう。
ペイパルが並み居るテクノロジー企業の中でこれほどまでに成功できた要因は、会社の成功よりも友情が重んじられる会社を作ることにピーター・ティールが専念していたからです。
その結果、最高な友人たちが人脈を共有し合い、今では7社のユニコーン企業(企業評価額10億ドル規模のスタートアップ)が生まれました。
彼は最も重要な最初の問いは、「誰と創業するか」であるといい、ビジネスパートナーの選択は結婚のようなものであるため慎重に選ばなければいけないといいます。
彼は以下のように述べ友情や人間関係の大切さを述べていました。
アインシュタインは、『複利効果』は私たちの宇宙でもっともも強大な力だと言ったとされます。これは金融や貨幣の話にとどまりません。重要なのは、不変の友情や長期的な関係を築くことに時間を投資することによって、人生最高の利益が得られるということです
ペイパルの成功も、ティールの成功も根底にあるのは固い友情だったのです。
成功のカギは「逆張り思考」
『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』でも有名になりましたが、ピーター・ティールが大切にしている問いが以下のものです。
「あなたにとって、賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」
この問いをすることで他人には見えないチャンスをものにすることができます。
「他人と違うことをするのは価値がある」という前提に立ったベンチャーキャピタルを彼は立ち上げており、投資した企業の約8割からは資金を回収できないそうです。
ピーター・ティールのような天才でも8割は失敗してるのか!
しかし成功するスタートアップというのは思いがけない場所に価値を見出し、方程式でなく第一原理からビジネスを考えるため、奇抜なアイデアや突拍子もないことを考えているところに積極的に投資をしているといいます。
これは「競争は負け犬がすること」というピーター・ティールの考えとマッチしており、競争を避けるには一見誰もが良いと思わないようなアイデアに手を出していく必要があるのです。
ピーター・ティールの愛読書
ピーター・ティールは政治、哲学、経済、テクノロジーについて確かな知識を持つ知識人です。
そのような知識は本から得ることも多いそうです。
彼の愛読するジャンルは「未来について描かれた過去の本」だそうで、以下の4冊を挙げています。
- 『ニュー・アトランティス (岩波文庫)』
- 『アメリカの挑戦』
- 『大いなる幻滅』
- 『ダイヤモンド・エイジ (海外SFノヴェルズ)』
これらを読むことで彼の思考がより理解できるかもしれません。
ピーター・ティール 世界を手にした『反逆の起業家』の野望まとめ
本書を通して、ピーター・ティールの思考や戦略の概要をつかむことができます。
「競争を避ける」、「他人と違うことをする」、「本当に価値のあるもののために時間を使う」と行ったことはビジネスに限らず応用の効く考え方だと感じました。
スタートアップに興味のある無しにかかわらず学ぶことの多い一冊だと思います。
ぜひお時間ある際に一読してみてください。
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