【書評】転職の思考法 〜 キャリアを考えるきっかけになりました

転職の思考法

誰にとっても、最初の転職は非常に怖いです。

なぜなら、社会人になるまでの人生では、主体的な意思決定をする必要なく敷かれたレールの上を歩んできたから。

「年齢」と「タイミング」で下すべき意思決定が決まっていたため、大きく悩んだり、恐れたりすることなく順調に進んできたでしょう。

しかし、転職は多くの方にとって初めての意味のある意思決定になります。

だから怖いのです。

この記事で紹介する『転職の思考法』では、そんな初めての意思決定プロセスをどのように下せば良いのかを等身大の悩みに寄り添いながら解説してくれます。

転職に必要なのは、「情報」でも「スキル」でもなく、確かな「判断軸」であることが本書を通して、非常に納得のいく形で語られています。

  • 現状の職場や仕事に満足をしていないけど、転職への一歩が踏み出せない
  • 周りが転職活動を始めていて焦っているけど、何から始めたらいいのかわからない
  • 転職活動で失敗したくない

上記のような悩みを持っているのであれば、ぜひ本書をじっくり読んでみてほしいです。

きっと転職活動に必要な「思考の軸」を与えてくれ、やるべきことや必要なマインドが明確になることでしょう。

転職に必要な「思考の軸」を与えてくれます

じょぶお

「転職の思考法」は「【2021年版】転職を考えたら読むべき本7選」の中でもおすすめしています。

目次

転職の思考法 書評

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詳細な内容は本書に任せるとして、僕個人として印象に残っている内容をまとめていきます。

多くの箇所に線を引きながら読むような本でした。

すべての人が「いつでも転職できる」という交渉のカードを持つべき

下記は本書の著者である北野唯我さんの言葉です。

すべての働く人が「いつでも転職できる」という交渉のカードを持てば、結果、今の職場も絶対によくなると確信している

転職の思考法を出版した理由はこれだそうです。

アメリカをはじめとする海外の転職マーケットと比べ、日本の転職市場は小さいです。

れは、転職の話を社内ですること」がタブーとされている風潮があったり、どこか心の中でネガティブな印象を抱いている方が多いためでしょう。

転職の話をすることがタブーになっていたり、ネガティブに捉えられているからこそ、現状の職場や業務に満足せず悩んでいるにも関わらず一歩が踏み出しづらい空気になってしまっているのです。

すべての人が「いつでも転職できる」という交渉のカードを持っていれば、会社も多くの社員を引き止めるために待遇をよくするはずですし、パワハラやセクハラなどの社員の人格を尊重しない行動などまず起きなくなるはずです。

同時に、働く人が「いつでも転職できるカード」を持っていれば、本当にやりたい仕事に積極的に手をあげることができるようになったりします。

なぜならやりたくないことをするくらいなら転職をすれば良いからです。

いつでも転職できる」という状態は想像している以上に強いカードなのです。

上司ではなく、マーケット見て働け

転職の思考法の中で、「マーケットバリュー」という言葉が何度も出てきます。

マーケットバリューとは、市場価値のことで、その名の通り、今の会社での勝ちでなく、世の中から見た自分自身の価値、つまり自分自身の値段のことです。

当たり前のように見えて、多くの人はこのことを理解できていません。

多くの人は、市場からの価値ではなく、上司やその会社の中での価値を高めるために無駄な努力をしてしまっているからです。

確かに、終身雇用の時代であればそれでもよかったかもしれません。

順調に会社内での価値を高めていって、年齢が上がっていくにつれてそれなりの給料をもらえる時代でした。

しかし、現代社会はそうでないことは皆さんもご存知かと思います。すでに、終身雇用は崩壊しています。

現代は2人に1人が転職する時代に突入しました。また新卒の学生ですら、 60%近くがセカンドキャリアを意識して就活をします。つまり「終身雇用」はすでに崩壊しているわけです

終身雇用が崩壊し、転職を繰り返してキャリアアップをしていく必要がある現代社会では常にマーケットバリューを意識しておくことが大切です。

市場から見た自分の値段を把握していなければ、どうすればキャリアアップできるのか、年収をあげることができるのかはまずわかりません。

『「あなた」という商品を高く売る方法』や『転職と副業のかけ算』は、マーケティングの視点から、キャリア戦略を考えていこうといった趣旨の本で、非常にヒットしていますが、現代社会では常に自分の市場価値を把握して、どう高めていくかが重要なのです。

20代は専門性、30代は経験をとれ

年齢によって身につけるべきスキルや経験は違います。

本書では「20代は専門性、30代は経験」と語られていますが、僕もその通りだと思いました。

この考えの前提として、「専門性のある人に経験は回ってくる。だから20代のうちにどれだけ専門性を高められるかが勝負」という考えがあります。

だからこそ、20代のうちは福利厚生や働き方以上に、専門性が身につくかどうかで会社を選んだほうが良いでしょう。

3つのキャリアを掛け合わせることで希少性を獲得し、100万人に1人の存在になれるという考え方もありますが、20代のうちに一つも専門性を身につけることができないとその先のキャリアでかなり苦しくなってきます。

ぜひ20代では専門性の獲得に力を注いでみてください。

人には”to do”型と”being”型の2種類がいる

人間には、「何をするか」に重きをおくto do型の人間と、「どんな人でありたいか、どんな状態でありたいか」を重視するbeing型の人間がいます。

99%の人は、being型の人間だといい、「心からやりたいこと」を探すこと自体がナンセンスなのだそうです。

就活の際にも、やりたいことを見つけてそれが実現できる会社を選ぶべきと言われますが、やりたいことを見るけるのははかなりハードルが高いのです。

being型の人間が仕事を楽しむためには、次の2つの方法があると述べられていました。

  1. マーケットバリューを高めること
  2. その上で、仕事でつく小さな嘘を最小化すること。自分を好きになれなければ、いくらマーケットバリューが高まり、自分が強くなっても、その「ゲーム」を楽しむことはできない

つまり、やりたいことがないからといって悲観することはなく、マーケットバリューを高め、自分の気持ちに嘘をつかないで働くことができていればたいていの人間は幸せなのです。

『転職の思考法』の書評 まとめ

誰にとっても最初は怖い転職について、的確な「思考の軸」を与えてくれる本書は非常におすすめです。

たとえいますぐ転職する気がなかったとしても、本書に書かれているマインドで働くことで市場価値の高い人間へとなれる可能性が高まります。

実際、転職する気がなくても、市場価値をあげるために転職活動をしている人は多いです。

僕自身も、転職エージェントとのキャリアカウンセリングを通して今の自分に必要なスキルや経験を知り、本業に活かすといった動きを20代の前半から行ってきました。

最近ではmentorsをはじめ、キャリア相談に特化した転職エージェントも存在しています。

ぜひ本書を手に取ると同時に、市場価値の向上に向けて一歩を踏み出してみてください。

この記事を書いた人

浅井 優太のアバター

国公立大学外国語学部英米学科卒業。TOEIC 970点 / IELTS 7.0 / 高校の英語教員免許保有。新卒から大手メーカーの海外営業として働く。

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